報道が教えてくれないアメリカ弱者革命―なぜあの国にまだ希望があるのか
堤 未果
著者の講演会に行ったあとに読みました。
テレビにも出演されているジャーナリストで、新刊がベストセラーになっています。
こちらは新刊ではなく、2006年発刊です。
著者は日本の高校を卒業後、アメリカに留学&就職し、
NYの証券会社に勤めていたときに9.11を体験。
そんな経緯で、親米家と言えると思います。(永住権も獲得しているそう。)
この本では、イラク戦争の反戦活動を取り上げています。
今読んでいる新刊(後日UP予定)が、レポート的なのに対し、
こちらはドキュメンタリー色が強い分読みやすく、感情移入してしまう内容です。
本のタイトルは、
メディアコントロールのある国で、社会的弱者たちが、
草の根運動を通して、革命を起こしつつある、という意味になると思います。
社会的弱者というのは、一般人も去ることながら、
軍からリクルート活動をうけた高校生、兵士、帰還兵、
リクルートされた息子を戦場で失った母親と、
当事者の取材が多いため、真実味と切迫感があります。
軍のリクルーターが高校へ来たりする話は知っていましたが、
それが詐欺的であることなど、
本を読んで頂ければわかりますが、もう、
「ここまでひどいとは・・・」
と目を伏せたくなるような惨状でした。
過激に聞こえるかもしれませんが、
洗脳、スパイ活動、不正選挙、メディアコントロール、等々。
歴史上の独裁制を彷彿とさせるお話がこれでもかと出てきます。
要するに、一部の富める者の欲のために、弱者が搾取されるという図式なのですが、
そういうことは、一般人にはなるべく知られないように工夫されているので、
こういった本が必要なのであり、当事者たちは、アメリカでは監視が厳しいため、日本人である筆者に事実伝達を託している感もあるようです。
とにかくほんとにひどいのですが、
一人ひとりの活動が希望につながっている、あきらめないで、
というメッセージを湛えた、上を向いた締めくくりになっています。
筆者の本が、なぜこんなに反響があるかというと、
それは本に書かれていることが、日本の未来予想図だからだと思います。
なかなか、うまくまとめられず、情けないのですが、
苦しんでいる人がたくさんいるということ、
権力のコントロールは、いつの時代でも、必ず必要だということ、
犠牲になるのは、弱者なんだということ・・
痛感し、恐ろしくなりました。
ですが、講演でもおっしゃっていましたが、
恐怖におちいったり、個人名や企業名をあげて怒りの矛先として安心するのでなく、
自分の「無知」と向き合うこと、
あきらめずに、声を上げ続けること、
後の世代にも、根気よく伝え続けること、
それが大切だと。
わたしも全くその通りだと思います。
もう一冊あるので、またそれを読んだら感想あげたいと思います。
そちらは、福祉制度の崩壊についても述べられています。
***
<本の内容を簡単に紹介>
・大統領選における電子式投票機械の導入
ハンガーストライキをするアメリカ人を取材。
疑惑の多すぎる2000年大統領選。
・志願制となっているが実質徴兵制なシステム
個人情報(ケータイNoまで)が軍へつつぬけ。
リクルーターから提示される条件は詐欺的。
貧しい家庭の若者が大学へ入れると夢見て入隊するケースがほとんど。
・帰還兵のホームレス化
入隊後の洗脳プログラム、除隊希望がかなわないシステム、
PTSD(心的外傷後ストレス障害)により働けない、病院の予約もとれない。
・兵士予備群
JROTC(Junior Reserve Officer Training Corps)=予備役将校訓練課程という軍事科目。成績の悪い子、不登校の子を集め、更正する名目だが、その実際は?
オンラインゲームで愛国心を養う。プレーヤーのレベルを軍が把握。リクルートに利用。
#JROTCに関するドキュメンタリー映画があることを知りました。
「
アメリカばんざい crazy as usual」
この先観れるのは、
横浜 シネマ ジャック&ベティ 2008年11月14日
静岡 シネ・ギャラリー 2008年11月8日〜11月21日